忽布古丹ビール三昧三昧三昧⑪🍺

【Trickster FIPA】

AVB:6.5% IBU:56 Style:Farmhouse IPA

オレンジ色の外観は少し靄がかかっています。まるで熟した桃を何百キロも入れて仕込んだかのような完熟トロピカル系Farmhouse IPA を作りました。トロピカルで果実のような甘いフレーバーを魅せておいて、飲み口は非常にドライなので、一挙に飲み干してしまうという設計が今回の我々の手口です。実際の甘さを示す数値は極めて低い値をとっています。ホップには、苦味成分だけでなく、甘い香味を呈する成分も含まれていることが近年の研究で次々に分かってきています。今回は、特に甘味を増幅させることを期待できるホップを使用し、「ドライなのに甘い」というトリックを実現しました。さらには、酵母の吐き出すフルーティーなエステルもボディに纏わせて、桃を始めとしたストーンフルーツ、マンゴー、パイナップルなどの果実感が強調されています。まさに狙っていた通り、ビールのフルーツバスケットになりました。

(忽布古丹醸造より引用)

【木陰のシュバルツ】

AVB:5.0% IBU:22 Style:Schwarz

シュバルツな夜もたまには良いものです。シュバルツは3回目の仕込みですが、実は毎回自信のあるスタイルの1つです。定番になる可能性もあったという裏話があるほど私たちはこのスタイルを気に入っています。今回は、「黒」は苦手という人にこそ試してほしい仕上がりにしました。それは過去のレシピと比較して、最もロースト麦芽の使用比率を低く抑えており、ローストの苦味を最小限に抑えた「飲まさる」黒いラガーだからです。勿論、シュバルツの定義を守ったレシピであり、伝統的なビアスタイルへの敬意を忘れてはいません。グラスを光に透かしてみると、インクのように真っ黒というワケではなく、やや茶色がかった色合いであることが分かります。「色が濃いから、味わいも重たい」というイメージを持っている方は、その先入観を捨てることになるでしょう。ボディはライトでリズミカルに飲みすすめられます。一方で、全体の印象が薄っぺらくなり過ぎないように、甘いフレーバーが特徴のユニークなブレンドホップを使用し味覚の釣り合いをとっています。ハイカカオのビターチョコレート、キャラメルやクリーム風のニュアンスと、浅煎り風ロースト感の折り合いがついていてなんとも仲睦まじい味のバランスです。最後にこんな言葉をご紹介させてください。「木陰に座って涼を愉しむことができるのは、誰かがずっと昔に、その木を植えてくれたからです。(ウオーレン・バフェット)」。時折、この言葉を思い出し、ハッとさせられます。醸造開始から約2年が経ちました。今、ビールをつくることができる環境にあることに感謝し、伝統と革新のバランスを取り、未来に繋がるビールを作り続けていきたいと決意を新たにしました。醸造開始から3年目のとある夏の日。

(忽布古丹醸造より引用)

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