Breaking Free IPA
DDH American IPA
- ホップ愛好家に捧ぐ、ホップ剝き出し系のIPAです。北米の大手ホップサプライヤーである「Haas(ハース)」は、「LUPOMAX(ルポマックス)」と呼ばれる製品をリリースし、世界中の醸造士に新たな可能性を提示しています。これは従来のホップペレットに含まれる植物の繊維部分を約3割近く取り除き、濃縮ルプリンペレットにした革新的なホップ加工品です。私たちは今回、この新しい原材料を使い、これまでのIPAの殻を打ち破ることに挑みました。FREEDOMSならではの自由で、大胆な試みです。カラッとキレたボディの飲み心地で、ホップのフレーバーが電撃のように舌から脳に突き刺さるような鮮烈なフレーバーを皆さんにお届けすることをイメージしてレシピを作りました。ベースに関してはほとんど設計通りに準備が整い、仕込みと発酵管理を無事に制御し、あとは最終的なバトンをLUPOMAXに繋ぐだけでした。結果は、我々の想像を超えるものでした。バブルガムのように弾けるフレーバーと、南国果実、特にパイナップルのようなトロピカルジューシーな甘み。均衡を保つのに充分な苦みのカウンター。後からジワジワと効いてくるアルコール感は高揚感を引き出します。決してもたつかないキレのあるボディと、少し強めの発泡性には、目が覚めることでしょう。雑味なしのクリーンで鮮烈なホップ体験を存分にご堪能ください。
AKIRA SUN-RYES IPA
Rye IPA
- 攻めの姿勢で、初めてのスタイルに挑戦しました。IBU 115を誇る過去最大のビタリングホップと、過去最大の上富良野産ホップのドライホッピングを携えて挑んだのは「ライIPA」です。ライ麦は頑丈で弾力性のある穀物です。そのスパイシーな黒胡椒のような風味は、何世紀にもわたってウイスキーやビールの原材料として高く評価されてきました。ライ麦の辛口なスパイシー感に対抗できる強い柑橘やハーブのフレーバーを備えた強いIPAは、お互いにお互いを引き立てあう関係性を持ちます。ライ麦由来のハード系パンのような穀物感と、胡椒のようにスパイシーな刺激に負けないように、途轍もない量のビタリングホップを仕込釜の中にぶち込みました。結果、途轍もない量の麦汁がホップに吸われてしまいました。創業から200仕込み目を目前に「思い切ったことやりたい」と試した代償は決して少なくなかったのですが、仕上がりについては大変満足のいくものができました。過去最大のIBU 115という数字は伊達ではなく、味蕾からじわじわとハードな苦みが入り込んできます。スパイシーでシトラスな柑橘感は通常のIPAでは愉しめないアイデンティティであり、この味わいにハマってしまった方は、あまり作られていないスタイルであるため、次に同じようなものに出会うのに一苦労することでしょう。上富良野産ホップによる容赦のない苦味、ライ麦由来の追撃のスパイシー感、最後にモルトからの少しばかりの甘い慈悲に思う存分浸ってください。
haku hoppy wheat 2021
Juicy Pale Ale
- 昨年に続き2度目の周年オリジナルビールは、札幌市からほぼ真下を辿った先にある沿岸部の町は白老町の常設店、haku hostel + cafe bar様のご依頼で今年も実現しました。
- 春の風物詩となることを願いながら、去年に続き、町と店の名前にもある「白」、さらには「hakudaku(白濁)」を今回もテーマにレシピをブラッシュアップし、再チャレンジしました。オーナーの菊地さんには仕込みを一緒に、「ゆるく」体験してもらうつもりでしたが、仕込み途中の大きなトラブルでは大変なご協力を頂き、なんとかやっとの思いで仕込みを終えた思い入れのあるビールとなりました。今回も貴重なイタヤカエデ樹液を提供頂いております。樹液を試飲した時のような柔らかで、冷涼な甘みのある味わいが引き立つように、今年もCitraホップをベースに、Idaho7、Strataなどの新世界のホップの力も借りて、トロピカルなフレーバーを築きました。また、昨年は採用しなかったオーツ麦を加えることでさらに滑らかで、優しい口当たりと、甘みを表現することに成功しています。一方、濁りについては霞んでいる程度で、私たちの狙った「白濁」の多くは沈殿してしまいましたが、飲み疲れることのない舌触りと喉越し、そしてトロピカルなフレーバーは沈むことなく健在です。今年の「haku」も、そしてこれからの「haku」も皆様に愛されるようにとネーミングの後ろには西暦を付けました。1年が経った今も、外出の規制や、人と密になることを制約された抑揚のない日々が続いていますが、私たちは美味しいビールつくり続けて、また人と人が繋がれる日々が帰ってくるのを待っています。
DAY TRIPPER
New Zealand Style Pale Lager
- アメリカの醸造協会は近頃、2021年のビールスタイルガイドラインに、ニュージーランドスタイルのペールエールと、ニュージーランドスタイルのインディアペールエール追加することを発表しました。続々と国内ブルワリーもこのスタイルに挑戦していくのではないでしょうか。では、忽布古丹醸造はどうかというと、普段は忠実にスタイルを再現することの方が多い私たちですが、今回は忽布古丹醸造の得意なラガーでこのスタイルに挑むことに決めました。ラガーと言わなければ分からないくらい、ヘイジーな見た目、トロピカルでシトラスな南国系果実のフレーバーと白ぶどうのニュアンス、そしてスムースな口当たりと、ラガーのイメージを全て覆すような破天荒な仕上がりになりました。ラガーは発酵管理が難しく、失敗の確率がエールに比べて幾分高く、尚且つドライホッピング由来のオフフレーバーにも直面しやすいという特有の問題を抱えながらも、自分たちのメソッドとセオリーを信じ、躊躇なくドライホッピングを行いました。大変恵まれたことに、本当に状態の良いNZ産「ネルソンソーヴィン」と「ワカツ」が手に入ったため、ニュージーランドのネルソン地方から追い風が吹いたかのようでした。失敗の許されない緊張感の中、日々の発酵管理に注意を払い、このスタイルの醍醐味であるニュージーランドホップの特徴を存分に引き出しました。ニュージーランド産ホップの特徴を知らなかった方でも、この一杯でその魅力に触れることができる仕上がりになったのではないでしょうか。グラス一杯の間だけですが、晴れわたるネルソン地方へのデイトリップ(日帰り旅行)にご招待いたします。
新境地
Imperial Italian Pilsner
- 東京は高円寺の忽布古丹常設店、ビアカフェ萬感様の10周年オリジナルビールのリリースです。オーナーの高橋さんと相談し、両者「ラガー系で、まだ日本で試されていないスタイルのビールをつくりましょう。」と意見が一致。注目したのはイタリアンピルスナー。このスタイル自体は、日本でいくつかのブルワリーが挑戦しましたが、まだまだ銘柄の少ないスタイルです。そのイタリアンピルスナーをおそらく初めてインペリアルにする試みとなりました。このスタイルは、なんと1996年まで歴史をさかのぼります。イタリア北部のマイクロブルワリーから生まれたスタイルで、それはジャーマンスタイルのピルスナーの発酵中にノーブルホップのドライホッピングを行なうというものです。このスタイルを世に出した醸造士は「私は何か新しいことをしていることに気づいていませんでした。」と語ったそうです。彼は、英国のカスクエールのドライホッピング技術とドイツのピルスナーのすっきりとした鮮明な特徴を単純に組み合わせていたと言います。皆さんは「ドライホッピング」と聞いて派手なキャラクターを想像されたかもしれませんが、これは旧世界のドイツホップであるハラタウやスパルトを使用した、高貴で、秩序の整った美しいピルスナーの進化系です。具体的にはミント、ハーバル、フローラルもあり、わずかに柑橘のアンダートン、そしてドライでクリスピーなフィニッシュが楽しめます。このスタイルが誕生してから四半世紀が経つ現代で流行の兆しをみせているのは、もしかすると現在のIPAトレンドに対するカウンターカルチャーに近いものがあるのかもしれません。無論、私たちはIPAも好きですが、どうも流行りに乗り切れない、ホップフォワード過ぎるビールに取り残されたビール愛飲家の救済に、あるいはラガー系ビールの新たな提案となることを願っています。
祭り前夜
Marzen
- メルツェンはドイツ語で「3月」を意味します。このビアスタイルは、16世紀以前のバイエルンに起源があるとされています。当時は現代のような冷蔵設備がなかったため、夏の醸造はビールが傷みやすく、条例によりビールは9月29日から4月23日の間にのみ醸造できると定められていました。そのため、この時代の醸造士たちの3月は忙しく、アルコール度数がわずかに高く、ホップが強めの傷みにくいビールをたくさん作って、夏の終わりまで持つように、涼しい洞窟にビールを保管していたといいます。残ったビールはオクトーバーフェストで盛大に提供され、消費されていました。歴史を知ることで、目の前のビールが一味違って感じられる場合があります。皆さんはいかがでしょうか。
- 今回の私たちのメルツェンは、クリーンでリッチ、トースト、パンのような優しく甘いモルトのフレーバー、上品な苦味、そしてもう一杯を飲みたくなるような後に引かないフィニッシュを備えています。全体的な印象は、複雑で、後味が豊か、フルボディですが決してべたつきや重さはありません。こだわり抜いたメルツェンは期待以上の仕上がりで、オクトーバーフェストまでは持たないだろうと思い、名付けたネーミングです。
- 私たちが他国の歴史あるビアスタイルをリバイバルさせる意味は、多種多様なビアスタイルに出会う喜びを皆さんと共有したいという想いからです。可能な限り皆さんと近い場所で、よりフレッシュなうちに、特にこれらのクラシカルなスタイルに触れたことのない方、あるいは過去に苦手意識を持ってしまった方に飲んで頂きたいと思っています。奇をてらわないドストレートな私たちの渾身のメルツェンはいかがでしょうか。
不純喫茶
Brown Ale
- 不純なブラウンエールを作ってしまいました。私たちは過去に自分たちがお気に入りのブラウンエールをすでに作りましたが、一見頭打ちと思われたこのクラシックなスタイルに 新しい可能性や選択肢を広げたいと思い、今回はリスクを取ってある挑戦をしてみました 。使用する麦芽全体のほんの一部を、燻製香のついたスモークモルトという麦芽に置き換 えて、スモーキーな特徴を受け入れています。味わい深さや複雑性を手にする可能性の一 方、使い方を間違えると味わいの全てが煙に覆われてしまう恐れがありました。しかしながら、今回は、私たちの思い通りに制御できたのではないかと思います。口に含むとドイツのラオホ(燻製)ビールのような薫香が感じられますが、良い意味でそれほど後には引かず、またラオホのように癖も強くなく、フルボディでもないため、ブラウンエールらしく軽やかに飲み進められます。ベースとなるブラウンエールはスモークモルトを含めて5 種の麦芽と、3種のホップで複雑な香味を築きました。カラメル、チョコレート、ナッツ 、スモーク、タバコなどの全体的に香ばしいフレーバーが愉しめることでしょう。飲んで 頂ければ不純と喫茶という言葉がしっくりくるはずです。ダンディで落ち着きのある佇まいのブラウンエール。いかがでしょうか。
道産ブルーベリーのエール
Fruits Ale
- つつじ色のきめ細かい泡と、真紅の液体は視覚からも楽しむことができるかと思います。今回使用したブルーベリーは上富良野町からも車で1時間もかからないところに位置する東神楽町という町で生産された大玉のブルーベリーです。醸造スタッフが何度もつまみ食いをしてしまうほど美味しいブルーベリーで、酸味よりも甘みの感じられる味わいでした。通常、ブルーベリーは酸性の土壌を好み、栄養豊富な土壌だと酸味が抑えられると言われています。実際に味わってみて、「栄養豊かな土で育った」ということが素人の私たちでも分かる甘みのある味わいと、素晴らしい品質でした。柔らかな優しい甘酸っぱさと、渋みのない果実感は、きっとウィートエールとの相性が良いと思い、このスタイルを選択しています。ウィート(小麦麦芽)由来の穀物香が余韻で現れて、ボディも軽やかで飲み疲れたりすることのない癒しの仕上がりになったと思います。それぞれの優しいキャラクターが合わさり、「ビール党ではない」「苦いのが苦手」という方でも美味しく飲めるフルーツエールになりました。
New Sorachi Style
Dry Stout
- 名付けの通り、ホップは私たちが醸造所を構える上富良野から誕生した「ソラチエース」を使用しています。杉やヒノキのようなウッディなキャラクターを持つことで有名なホップ品種です。このホップは濃色のビールの中でよりそのキャラクターの価値が発揮されるという仮説が私たちにはありました。実は木の香りとビールは相性が良いのです。我々は、木樽に入れられて熟成の進んだ素晴らしい濃色ビールをいくつも知っています。木樽に入れられたビールが木の成分を取り込み、ウィスキーやワインのような奥深さを手に入れるバレルエイジングという手法があります。現代のようにステンレスの設備が当たり前になる時代より以前のビールはほとんどがバレルエイジングでした。実際に、1950年代後半まで、世界的に有名な某黒ビールも木製の樽に入れられていたといいます。それらのビールがどのような味だったのか私たちには興味がありました。皆さんもきっと同じではないでしょうか。そこで、100年以上前から続く伝統的なドライスタウトを、現代的に、忽布古丹的に、再解釈した結果が、木のキャラクターを持つソラチエースの使用です。木樽でバレルエイジングを行なわずに、数百年前のドライスタウトをソラチエースでリバイバルさせました。チョコレート、ナッツのようなフレーバーは焙煎した麦芽から、杉やオークなどの複雑な味わいはソラチエースによってもたらされました。本当に木樽でアーリーフィニッシュさせたかのようです。それでいて、アルコール度数は低く、スムースな口当たりで、ボディは軽く疲れない設計。
- 是非、パイントでゆっくりと、ソラチエースの真骨頂をお楽しみください。
忽布古丹は続くよ❗️何処までも🍺🍺🍺🍺🍺🍺🍺🍺🍺
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